大森で700年続くお祭り
東京都大田区の北東部に位置する大森。エドワード・モーズ博士が明治時代に発掘した大森貝塚があることで知られ、この地名を教科書で見たという方も多いかもしれません。貝塚があるくらい古くから人の住んでいた土地なのが分かる大森ですが、なんと700年以上に渡り受け継がれてきたお祭りがある場所なんです。そのお祭りとは、例年毎年7月第二日曜日に開催されている「水止舞(みずどめ の まい)」!
水止舞が開催される舞台は、大森町駅から徒歩9分程の場所にある厳正寺(ごんしょうじ)。1272年(文永9)年に創建された寺院です。開山したのは法円という僧で、なんと鎌倉幕府執権の北条氏をルーツに持つ方なんだそうですよ。
それでは、2024年は海の日の7月15日(月・祝)に水止舞が開催されましたので、その様子をお伝えしていきます!
水をかけられまくる「道行」
お祭りのスタート地点となる大森第一小学校前の交差点へ、お祭りがはじまる直前の13時前にやってきました。既に多くの方が集まってきています。
法螺貝の音が鳴り響き、水止舞がはじまりました!まずはここから厳正寺を目指し行列が進んでいく「道行(みちゆき)」が行われていきます。
水止舞の見どころは、水を浴びせられまくるところ。お祭りの開始と同時にこれでもかと水が飛び交っています!
なんでこんなに水をかけるのかというのは水止舞の誕生の背景を知る必要があります。水止舞がはじまったのは、今から700年以上前の1321(元亨元)年。鎌倉時代後期の後醍醐天皇の時代と伝わっています。その頃この辺りでは大干ばつが起きて悩まされていたそうで、これに対処しようと厳正寺の第二世法蜜上人が龍像を造り雨乞いを実施。雨乞いは大成功となりましたが、今度は反対に長雨が続くというまさかの事態になってしまったんだとか。そこで続いては獅子面を3つ作成。この面を農民にかぶらせて、踊りや法螺貝を吹いたところ無事雨が止み、それから獅子面を「水止(しし)」と名付け水止舞を毎年奉納するようになったと言うのが、水止舞のはじまりのお話です。
そんな歴史のある水止舞ですが、厳正寺を目指す「道行」は龍による雨乞いの儀式のパートです。と言うことで、藁巻きの龍神が姿を現しました!
藁巻きの中に男性が入り、法螺貝を吹いているのが特徴的なこちら。2体いるのは雌雄を表しています。法螺貝の音を響かせている間にも、容赦無く水が浴びせられていきますよ!
水を一通り浴びせられたら、持ち上げられて運ばれる龍神。なんとも珍しい光景です。
止まったら水をかけられ、水かけが終わったらまた運ばれる龍神の姿。見物客もびちょびちょになりながら一緒に進んでいきます。
龍神の後方に続くのはお囃子隊やささらを鳴らしながら進む花籠。
「ギギッ、ギギッ」という音を響かせるささらは風情がありますね。
そしてこちらは3匹の獅子舞です。行列の最後に歩いていました。
厳正寺で行われる「舞」
道行を終え、厳正寺へ到着した一行。ここからは境内の舞台で獅子舞が繰り広げられていきます。とその前に、舞台に上がった龍神のとぐろが解かれていきますよ。
とぐろが伸ばされ、一本の輪っかに。
舞台上に土俵のような藁の輪が出来上がりました。こちらで獅子舞が行われていきますが、まずは花籠が入場。
続いて、獅子舞もやってきました。
獅子は、雄獅子、中獅子、女獅子の3体です。ここから龍神を鎮め、雨を止めるための舞が披露されていきます。
獅子のこの舞姿、かっこいいですね!
雄獅子、中獅子が2体で舞う場面も。
目の前で飛び跳ね迫力があります。
女獅子が入って3体で舞う見応えのあるシーンです。
舞台の四方には、獅子舞を見ようとたくさんの方がやってきていますよ。
歌が歌われながらの獅子舞もありました。どこか牧歌的な、独特な空間に惹かれるものがありますね。
厳正寺へのアクセス
・京急本線 大森町駅から徒歩8分
例年毎年7月第二日曜日に開催されている「水止舞」。全国的にも珍しい雨を止める獅子舞を見に、ぜひ来てみてください!
コメント
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