広州の街を歩く。暑い、なんせ30度以上あるのだ。日本の夏も暑いが、負けず劣らずのアジアの熱気を(物理的に)感じながら広州の街を歩かなくてはいけない。どこか東南アジアを感じさせるような陽気でもあり、実は個人的には好きな気候である。異国にいる喜びを肌で感じながら、汗をぬぐって広州飯を探しに歩みを進める。
広州は都会である。なので少し歩くと軒を連ねる飲食店に次々と出会うことができるのだ。広東省式の点心を扱っているお店を発見。店先に並ぶ小籠包や肉まんのようなものもおいしそうなのだが、一軒目はもっと渋いお店に入りたいのでスルー。果たしてそんな希望のお店が見つかるのだろうか。
名物の鶏料理がぶら下がったそそられるお店もあるが、まだこんなに華やかな食事をするタイミングではない。もっと落ち着いた、ローカルっぽいお店に出会いたいのだ。
おお、調理台に並ぶ食材が主張してくるお店があるではないか。しかも「潮味」と書いてある。「潮味」とは「潮州の味」、すなわち「潮州料理」のことだが、「潮州料理」は広東省東部の潮州市や汕頭市で食べられている地方料理を指す名称なのだ。広義の「広東料理」の一部と捉えられてしまうこともあるようだが、「広東料理」自体が広東省の各地方の料理の集合体であることから、「潮州料理」を「広東料理」の源流の一つと呼んでしまっても良いのかもしれない。
こんなに食材が訴えかけてくる姿を見てしまったら、このお店に入るしかない。ほのかなアジアンなスパイスの香りも私を店内へと誘う。いざ、地元の人達で賑わう店内へ入場。店員さんはじめ全く言葉が通じる様子はなかったが、とりあえず着席できた。
さあ、なんのメニューを頼もうか。店頭に並ぶ複数種類の麺も気になるところだが、中国一食目はご飯からかな。数あるメニューの中から「特色猪杂湯飯」を選択してみた。店を取り仕切るおばちゃんにどうにか注文してみる。すると笑顔を返してもらえた。たぶん当たりだ。
字面からもパワーを感じるこちら。メニュー表の中でも目立つところに書いてあったので、このお店の名物に違いない。「特色猪杂湯飯」とは、直訳すると「特徴的な豚もつスープご飯」といったものだろうか。注文してから待つ時間も無いうちに、料理が提供されてきた。
ハツやガツなどの豚もつが山盛りに入ったスープの登場だ。熱々のところをまずは一杯すくって飲んでみよう。「うまい!」、この一言につき、熱々のスープはどこかホッとする温かい味だ。豚もつの旨みが溶け込んだスープに、ニンニクとパクチーが効いているのが良いアクセントになっている。こんなおいしさの掛け算があるのかと発見であった。
緑色の葉っぱも食べてみよう。なんとこちらはレタス。シャキシャキ食感がなんともおいしい。そして豚もつのコクと塩気をまとったスープとの相性も抜群だ。スープにレタス、こちらもおいしさの新たな発見である。
中国に来て一食目は「特色猪杂湯飯」となった。日本ではなかなか出会わない味に会え、幸先の良いスタートである。さあ、もっともっと食べよう。
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