海のシルクロードと仏教伝来
広州はお寺の多い街だ。海のシルクロードの玄関口として古くから栄え、仏教の伝来が早かった地域ということが関係しているのかもしれない。
漢の時代にはすでに交易地として発展し、唐の時代になると国際貿易港として整備されインドやアラビアの商人が多数訪れていたという。その交易や人の交流とともに、仏教も広州へと早い段階から伝わってきたのだとか。
また広州は禅宗が独自の発展を遂げてきた地としても知られ、広州で発展した禅宗は「南宗禅」と呼ばれている。この南宗禅は日本へも大きく影響し、後の曹洞宗や臨済宗へとつながることになった。
どこか広州の街に懐かしさを感じるのは、悠久の時代の広州と日本との交流が垣間見られるからなのかもしれない。少し歩けばお寺があるという風景にも親しみを感じられる。
このような独自の仏教文化が華開いた広州で、3つの寺院を訪ねてみた。
六榕寺(必見の千仏塔)
最初に訪れたのは、六榕寺(りくようじ)。南北朝時代の南朝・梁で537年に創建され、広州で最古級の歴史を誇っている寺院だ。
六榕という寺名は境内に生えていた6本の榕樹(ガジュマル)に由来する。現在でも境内には立派な榕樹が植えられていて、当時の様子を偲ばせてもらえるかのようである。
そして六榕寺へ来たら見逃せないものが千仏塔(花塔)。高さ57mの塔で、現在建っているものは明の時代の1373年に再建されたものという。塔の中にはたくさんの仏像が置かれているため千仏塔と呼ばれ、また塔のてっぺんが花弁に似ており外面が色鮮やかなことから花塔とも呼称されている。


この千仏塔の正面へ来ると、熱心に祈りを捧げる女性がいた。広州のお寺では老若男女問わず、手を合わせたり、線香を焚べたりする地元の方を見ることができ、仏教が日常に息づいていることを感じられる。

境内入ってすぐのところの仏像へ手を合わせている女性もいた。祈りが日常に当たり前にあるというものに、どこか懐かしさと旅情を感じられた。


光孝寺(鑑真も滞在)
次の訪れたのは、光孝寺(こうこうじ)。4世紀に創建されたと伝わる寺院で、六榕寺等と並び広州四大寺院の一つとしても知られている。
南宗禅を広めた禅僧・慧能はこの寺で剃髪出家したとされ、その後の禅宗を広める拠点として光孝寺は重要な場所となっていった。また日本でも有名な鑑真が5回目の日本への渡海に失敗した際に広州へ辿り着き、749年の春に光孝寺で過ごしたという記録も残っているそうだ。鑑真は盲目の僧として知られるが、光孝寺に来た際にはまだ目が見えていたらしい。
そんな鑑真も見たかもしれない景色を前にしている。まずは立派な朱塗りの門がお出迎え。

門をくぐると、金ピカの布袋像が待っている。参拝者が手を合わせているが、いかにも縁起が良さそうだ。

境内は至る所が花や緑で囲まれ、なんとも清々しく過ごせる。祈りの場でもあり、市民の憩いの場でもあるようだった。

3体の仏像が安置されている大雄宝殿の前では、常にお祈りをしている人がいる。中に入って金色に輝く仏像を拝むこともできた。

こちらは瘗発塔という7階建の塔だ。屋根は八角形になっている。前述の慧能が剃髪した際にこの場所に髪を埋め、その記念としてこの塔が作られたらしい。剃髪したのが676年と伝わるため、かなりの歴史がある塔だ。

境内を出て前に続く参道を歩くと、花を売るお店が多いことに気づく。こちらで花を購入し、光孝寺でお供えすることができるのだ。色とりどりの花が次々に購入されていき、ここでも仏教の息づきを感じたものだった。

大仏寺(繁華街直結)
最後に訪れたのは、大仏寺(だいぶつじ)。創建は南漢の時代で、繁華街の北京路のすぐ側にある寺院だ。
訪問してみて、繁華街のすぐ横にこれだけ大きなお寺があるというのに驚いた。社殿後方や周りには広州のビル群が立ち並ぶ。

都会のど真ん中といった様相だが、ここでも熱心に祈るを捧げる方が大勢いた。焚かれている線香が消えることは無さそうだ。

社殿内には3体の金色の仏像が安置されていて、近くで拝むことができる。ちょうどお坊さんが読経をしており、ノスタルジックな雰囲気の空間に身を置くことができた。
この社殿の裏側には陶器でできた見事な観音様の姿もあり必見。見ていると仏様の世界観に惹き込まれていくかのようだ。

この観音様の前にも見事な建物が建っているので、こちらも見ておきたい。

大仏寺へのお詣りを済ませたら、繁華街の北京路やそこから続く美食街の恵福東路を歩いてみるのも良いかもしれない。

アクセス
・六榕寺
公園前駅(広州地下鉄1号線、2号線)より徒歩9分、西門口駅(広州地下鉄1号線)より徒歩12分
・光孝寺
西門口駅(広州地下鉄1号線)より徒歩5分
・大仏寺
公園前駅(広州地下鉄1号線、2号線)より徒歩7分、北京路駅(広州地下鉄6号線)より徒歩9分
仏教の息づく街、広州。観光地としてお寺を選ぶのもおすすめです!
コメント